年収300万円の人が年収1000万円になったら500万円貯金できるのか?
勤め人の皆さん、今自分がどのくらいの税金や社会保険料を納めているか把握していますか?恥ずかしながら、僕は把握してないです。そんな僕が、ちょっと引っかかったツイートがこちら
ほんそれ。
— tea_hashi (@tea_hashi) 2020年7月21日
年収300万円以下の人は「もしも年収1000万になったら、毎年500万貯金して〜」とかマジで言うから。
ツイートした方は、一般大衆が高額所得者の実態を理解していない、という意図で発言されているとお見受けしましたが、実際のところどうなのでしょう?興味があったので試算してみました。
年収300万の人が年収1000万になったら、生活を変えない前提であれば年間500万円の貯金は可能です。
— decdeco (@decdeco1) 2020年7月22日
所得300万円の税引き後所得:約279万円
所得1000万円の税引き後所得:約826万円
826万円-279万円=547万円>500万円
確かに。
— decdeco (@decdeco1) 2020年7月22日
住民税(仮に千代田区)、社会保険を考慮すると(扶養控除無し/介護保険量無し)
額面300万円:手取り約227万円
額面1000万円:手取り約677万円
677万円-227万円=450万円<500万円
ですね。
このときは、結構乱暴に試算したので改めて試算してみます。
前提条件をこんな風においてみました。
・試算するもの :年収300万円/年収1000万円の手取り
・住民税のシミュレーション :千代田区
今回、控除は高額所得者に有利な試算にするため、控除額が最低限になるように前提をおいています。以前の僕の試算に対してこんな意見が出ました。
ちゃんと調べてないのであれですが、、さらにいうと各種控除を考慮すればさらに差は広がるのではないかと。たぶん300まんくらいの年収の人はこんなに税金払ってないかな。
— doc (@dai1988d) 2020年7月23日
一般論的には、「控除は高額所得者に有利」、「手当は低所得者に有利」なので、上記の意見は恐らく何か勘違いされているのではないかと思います。ちょっと寄り道になりますが、具体的に見ていきましょう。
|
5万円控除 |
5万円手当 |
所得:190万円 |
所得税:-2,500円 |
所得税:+2,500円 |
所得:4006万円 |
所得税:-22,500円 |
所得税:+22,500円 |
上表の通り、同じ控除額であれば、高額所得者の方がより納税額が下がり、同じ手当を受け取る場合は、高額所得者の方がより納税額が上がるわけです。
閑話休題。それでは、先ず年収(収入)から控除を考慮して所得を算出してみます。
|
年収:300万円 |
年収:1000万円 |
480,000円 |
480,000円 |
|
給与所得控除 |
980,000円 |
1,950,000円 |
健康保険料 |
12,831円 153,972円 |
40,960円 491,520円 |
厚生年金保険料 |
23,790円 285,480円 |
59,475円 713,700円 |
雇用保険料 |
750円 9,000円 |
2,500円 30,000円 |
控除額合計 |
1,497,371円 1,908,452円 |
2,532,935円 3,665,220円 |
所得 |
1,502,629円 1,091,548円 |
7,467,065円 6,334,780円 |
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm
https://funjob.jp/keisan/gekkyu/
※20/09/09 社会保険料が月額になっていました(@dai1988dさんご指摘ありがとうございました)
では、所得額が出たところで所得税を計算してみましょう。所得税計算は下記を参照しています。
https://www.tokyozeirishikai.or.jp/general/zei/shotoku/
|
年収:300万円 (所得:1,502,629円) (所得:1,091,548円) |
年収:1000万円 (所得:7,467,065円) (所得:6,334,780円) |
75,131円 54,577円 |
1,081,424円 839,456円 |
ここでは、復興特別所得税は無視しています。
最後に住民税を計算してみましょう。こちらでシミュレーションしてみました。
https://zeisim.e-civion.net/tax-project/ChiyodaMenuAction
|
年収:300万円 (所得:1,502,629円) (所得:1,091,548円) |
年収:1000万円 (所得:7,467,065円) (所得:6,334,780円) |
特別区民税+都民税 |
161,500円 |
749,500円 |
それでは、収入から社会保険料、所得税、住民税(特別区民税+都民税)を引いて手取りを計算しましょう。
|
年収:300万円 |
年収:1000万円 |
手取り |
2,725,998円 2,335,471円 |
8,066,141円 7,175,824円 |
というわけで、年収300万円の人が生活を変えずに年収1000万円になった場合、手取りの差額である、8,066,141円―2,725,998円=5,340,143円7,175,824円―2,335,471円=4,840,353円を貯金に回すことができるわけです。あれ?500万円以上貯金できちゃうね。残念ながら、500万円は貯金できなさそうですね。前回の試算では基礎控除や給与所得控除を考慮していなかったため、そこら辺で差異が出ているものと思われ。