誠意なんて示さなくていいんじゃない?

クレーマー気質の人が怒りだして「誠意を見せろ!」なんて言うの、なんかありそうな光景ですよね。これは、会社でもある話でして。

 僕が始めて任されたプロジェクトで日程を遅延させてしまったとき、プロジェクトオーナーにリカバリー策を説明したところ、「もっと誠意を見せろ!」って言われたものです。どうも、プロジェクトメンバーに余り圧がかからないような策だったので、もっと圧をかけろって言うことだったようです。

 で、最近も似たようなことがありまして。メンバーとして参加していたプロジェクトが大炎上して、3ヶ月後の出図に間に合いそうもないという状態で年末を迎えていました。その当時、どのメンバーも深夜残業や休日出勤でなんとか鎮火させようとしてふらふらになっていました。で、当然のように年末年始どうするかという話になったのですが、プロジェクトオーナーの「誠意を見せろ!」の一言で、年始は休まず仕事と言うことになりました。

 さて、「誠意」ってなんなのでしょうね。辞書的には、こんな感じなんだそうで。

 

うそいつわりのない心。私利・私欲のない心。まごころ。 「 -を尽くす」 「 -ある態度

三省堂 大辞林 第三版より

 

 つまり、件のプロジェクトオーナーにしてみると、正月を返上して仕事をすることが「うそいつわりのない心」、「私利・私欲のない心」をプロジェクトオーナーに示すことである、ということだったんですね。でもね、正月を前にして長期間にわたって深夜残業や休日出勤で無能なプロジェクトマネージャに成り代わり鎮火を試みていたメンバーの行動はそれ自体が「誠意を見せていた」ってことになるんじゃないのかなぁ… 正月はメンバーを休ませて、その代わりプロジェクトマネージャやユニットリーダーがWBS(このプロジェクトでは作られていなかった)やリスク管理表(同じく作られてなかった)や課題を見直して、プロジェクトの問題を解決するための方針を決める期間にしたほうがよいんじゃないのかなぁ… などと思ってしまいました。

 そもそもね、誠意なんて別に示さなくったっていいんですよ。火消しさえできれば。そして、プロジェクトが目論見通り完了すればね。だってさ、誠意を見せてもプロジェクトが失敗したら意味ないでしょ。

さて、このプロジェクトどうなったかと言いますと、一向に日程遅延は改善せず、年明けに体調不良が続出するなどして、出図を3ヶ月遅らせざるを得なくなりましたとさ。